「夜になると歯が痛い」「歯が痛すぎて眠れない」といった経験がある方も多いのではないでしょうか。
「夜だから歯医者も開いてないし…」と諦めていませんか?
本記事では、夜でもご自宅で簡単にできる対処法をご紹介しています。
併せて夜に歯が痛む原因も解説していますので、痛みを強める行動は避け、再発を防止しましょう。
歯が痛くて眠れない原因
歯が痛くて眠れない原因は主に5つ考えられます。
- 虫歯
- 歯髄炎
- 歯周病
- ストレス
- 親知らずの痛み
- 頭部の血行促進
虫歯
虫歯が進行すると神経に達し、強い痛みが発生し、眠れなくなる場合があります。
虫歯は初期段階では自覚症状が少ないが、進行すると歯の内部にある歯髄へと進行します。
歯髄には多くの神経や血管が存在しており、虫歯菌や産生する酸による刺激を受けると炎症が起こります。
炎症が原因で歯髄炎という状態になり、ズキズキとした痛みを感じることが一般的です。
特に夜間、横になったときに体の循環が良くなると痛みが増強することが知られており、眠れなくなる大きな要因となります。
歯髄炎
歯髄炎が原因で歯が痛み、眠りを妨げることがあります。
歯髄炎とは、歯の最も内部に存在する歯髄が炎症を起こしている状態を指し、虫歯や外傷からの感染が主な原因となります。
歯髄には神経や血管が存在しており、感染や炎症が生じると、神経を刺激して強烈な痛みを引き起こします。
特に夜間、体がリラックスすることで血流が増えると、炎症部位の圧が高まり、痛みが増強されることがよくあります。
痛みは持続的であったり、拍動するような痛みであったりと、多彩な痛みの形態をとることが知られています。
歯周病
歯周病は、歯を支える組織や歯肉に炎症が生じる疾患です。細菌の蓄積や歯石、口腔内の環境の変化などが炎症を引き起こします。
初期段階では歯肉炎として歯肉のみに炎症が現れるのですが、放置すると炎症は歯を支える骨にまで及ぶことがあります。
この骨の炎症や減少により、歯が動きやすくなったり、時には痛みを伴うことがあります。
歯の動きや痛みは、特に咬むときや夜間に強く感じられることが多く、痛みや不快感が持続的に存在すると、十分な眠りをとることが難しくなります。
ストレス
ストレスは歯痛を引き起こし、結果として眠りを妨げることがあります。
ストレスを受けると、歯ぎしりや歯を強く噛む「くいしばり」といった行動が増えることが知られています。
歯ぎしりやくいしばりは、歯や歯周組織に過度な負荷をかけるため、時間が経つと歯の表面が削れたり、歯と歯槽骨の間の組織である歯根膜が炎症を起こすことがあります。
これらの炎症や過度な負荷は歯の痛みを引き起こす要因となり、特に夜間や休息時に痛みが強くなることが多いです。
痛みが強まると、深い眠りをとることが困難になり、質の良い睡眠が得られなくなります。
親知らずの痛み
親知らずは、晩発性の永久歯であり、顎の成長が終わる頃に生え始めることが多いです。
しかし、現代人の顎は進化の過程で小さくなってきたため、十分なスペースがない中で親知らずが生えてくることがあります。
このような状況下で親知らずが生えると、正常に位置を取ることが難しく、他の歯との間に挟まったり、斜めに生えたりすることが一般的です。
この不正確な位置取りにより、歯肉の下に親知らずが部分的に隠れてしまうことがあります。
歯肉の下に隠れた部分は、食べ物の残りや細菌が溜まりやすく、炎症を引き起こす原因となります。
この炎症は非常に痛みを伴い、特に就寝時に痛みが増強することが多いです。
さらに、親知らずの痛みは周囲の歯や顎、さらには頭や首に放散することもあり、眠りを十分に取ることが難しくなります。
頭部の血行促進
頭部の血行が良くなることは、通常、体にとっては良いこととされます。
しかし、歯に炎症や感染が起きている場合、頭部の血行が良くなると、炎症部位への血液の流入が増加します。
血液の流入が増加することで、炎症部位には免疫細胞や栄養分が多く運ばれ、炎症の修復を促進する反面、炎症の症状(痛みや腫れ)が一時的に増強されることがあります。
歯や歯周組織の炎症は、歯の神経を通じて鋭い痛みを感じることが一般的です。
頭部の血行が促進された際、この痛みが一層鮮明になることが考えられます。
特に、夜間や横になった時に血行がさらに良くなることが一因として、眠りを妨げることがあります。
夜にだけ歯が痛むのはなぜ?
夜にだけはが痛む原因としては、以下3つが考えられます。
- 入浴・飲酒による血流増加
- 頭部に血液が流れやすい
- 自律神経のバランスの変化
入浴・飲酒による血流増加
入浴や飲酒が原因で夜に歯が痛む現象が引き起こされることがあります。
入浴や飲酒は身体の血流を促進する効果が認められます。
入浴により温かい水の影響で血管が拡張され、血流が活発になります。
また、アルコールには血管を拡張する性質があるため、血流がより一層増加することとなります。
血流が増えることで、炎症や感染が存在する歯や歯周組織への血液の供給が増加する結果、痛みや腫れを強く感じることが考えられます。
既存の歯のトラブル、虫歯、歯周病などの問題がある場合、入浴や飲酒の後、痛みが強くなる可能性が高まります。
頭部に血液が流れやすい
夜、人々が横になると、重力の影響で頭部への血液の流れが増加します。
横になることで心よりも頭の位置が高くなり、血液が頭部に流れやすくなります。
特に、歯や歯周組織への血液供給が増加すると、もし炎症や感染が存在すれば、その部分の圧迫感や痛みが強調されることがあります。
その結果、歯の痛みを夜に特に強く感じることが考えられます。
自律神経のバランスの変化
日中と夜間では自律神経の働きに違いがあります。日中は交感神経が優位に働き、活動的な状態を保ちます。
一方、夜やリラックスした時には副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になると、血管が拡張し、特に頭部への血流が増加します。
これにより、歯や歯周組織に炎症や感染がある場合、その部分の圧迫感や痛みが強調されることが考えられます。
また、副交感神経が優位になることで、体がリラックスし、痛みや不快な感覚をより敏感に感じやすくなる可能性もあります。
以上の理由から、自律神経のバランスの変化が、夜にだけ歯が痛む原因として関与していると推測されます。
歯が痛くて眠れない対処法5選
次に歯が痛くて眠れない場合の対処法を5つ紹介します。
- 患部を冷やす
- 鎮痛剤を服用する
- うがい・歯磨き
- ツボ押し
- 夜間救急外来の受診
いずれかの対処をして、痛みを和らげましょう。
患部を冷やす
歯の痛みの原因の一つは、歯や歯周組織の炎症によるものです。
炎症は、血流の増加や細胞の活性化によって熱を持ち、痛みを引き起こすことがあります。患部を冷やすことにより、血管が収縮し、炎症部位への血流が抑えられます。
この結果、炎症の進行が鈍化し、痛みも和らぐことが期待されます。
さらに、冷却による麻痺効果もあり、一時的に痛みを感じにくくなることがあります。
ただし、患部を直接氷で冷やす場合は、氷嚢を布などで包んでから使用すると、皮膚や歯肉へのダメージを防ぐことができます。
鎮痛剤を服用する
歯の痛みは、歯の内部や歯周組織に生じた炎症や感染、さらには歯の変動や歯の抜ける際の刺激など、多岐にわたる要因に起因することがあります。
痛みは体内でのプロスタグランジンの産生によって増強されることが知られています。
鎮痛剤の中には、このプロスタグランジンの産生を抑制する働きを持つものが含まれています。
そのため、鎮痛剤を服用することで、痛みの原因となる物質の産生を抑え、一時的に痛みを軽減することが可能となります。
うがい・歯磨き
歯の痛みは、食べ物の残渣や細菌の蓄積、歯周病の初期症状など、様々な原因で引き起こされることが考えられます。
うがいを行うことで、口腔内の食べ物の残渣や細菌を一時的に洗浄することができます。
また、歯磨きを適切に行うことで、歯の表面や歯と歯の間に蓄積されたプラークを取り除くことができ、炎症や感染のリスクを減少させる効果が期待できます。
これにより、歯の痛みの原因となる刺激や細菌の影響を軽減し、痛みを和らげることができる場合があります。
ツボ押し
ツボ押しは、古くから中国医学や日本の伝統医学で用いられてきた方法の一つで、特定の部位に刺激を与えることで、体のバランスを整えたり、特定の症状の軽減を目指すものです。
歯の痛みに関連するツボは、手や足の一部に存在するとされており、これらのツボを刺激することで、血行の促進や痛みを伝える神経の活動の鎮静化、さらにはリラックス効果をもたらすことが報告されています。
合谷
「合谷」とは、手の親指と人差し指の間、二つの筋肉が交差する部分に位置するツボで、多くの症状に対する効果が伝えられているものの一つです。
特に、痛みに対しての鎮痛効果が高いと言われています。歯の痛みに関しても、「合谷」の刺激は、痛み伝達を抑える効果や血行を促進することで、局所的な痛みの軽減をもたらす可能性があります。
さらに、「合谷」はストレスや緊張を和らげる効果も報告されているため、眠れない際の心身のリラクゼーションにも寄与すると考えられます。
承漿
「承漿」とは、手の親指の付け根の掌側、母指球の中央部分に位置するツボであり、伝統的に頭痛や歯痛、顎の痛みなどに効果があると言われています。
このツボの刺激は、痛みを和らげるだけでなく、周囲の筋肉の緊張を緩和し、リラクゼーション効果をもたらすとも考えられています。
歯の痛みに関して、「承漿」の刺激は、痛み伝達を抑制する作用や血行を良くする効果により、歯の痛みの軽減に寄与する可能性があります。
夜間救急外来の受診
歯の痛みが夜間に起こる場合、それは往々にして急性の症状であり、それを放置することはさらなる合併症のリスクを増加させる可能性があります。
夜間救急外来は、通常の診療時間外にも患者の診察や治療を行う施設であり、症状の急性度や痛みの強さに応じて即時の対応が可能です。
歯科医師は、専門的な知識と技術を持っており、痛みの原因を迅速に特定し、適切な治療方針を立てることができます。
例えば、虫歯が原因での歯の痛みや歯周病、歯の抜歯が必要な場合など、症状の程度によっては夜間救急外来での治療が必要となることもあります。
痛みを和らげ、患者の安心感を提供するため、夜間救急外来の受診は、深刻な歯の問題に迅速に対応するための適切な手段と言えます。
歯が痛くて眠れない場合は歯科医院を受診しましょう
歯の痛みが強く、眠ることができない状態は、通常の生活に大きな支障をきたすだけでなく、その背後には深刻な歯科疾患が隠れている可能性が考えられます。
例えば、進行した虫歯や歯周病、歯根端炎などが痛みの原因として挙げられます。
これらの疾患は、早期に対処しないと、さらなる合併症を引き起こすリスクが高まります。歯科医師は専門的な知識と技術を持っており、正確な診断と適切な治療を提供できます。
痛みの原因を特定し、早期の段階で適切な治療を受けることで、痛みを和らげるだけでなく、将来的な健康リスクを最小限に抑えることができます。
したがって、歯の痛みで眠れない場合は、健康を守るためにも歯科医院の受診を選択することが最善の策と言えます。
まとめ
以上、歯が痛くて眠れない場合の原因とその対処法をご紹介しました。
夜に歯が痛む原因は、虫歯・歯周病・歯髄炎・体調不良・ストレスなどとさまざまです。
入浴や飲酒といった痛みを強めてしまう行動は避け、患部を冷やしたり、歯痛緩和に効くツボを押したりして対処しましょう。
本記事でご紹介した対処法はあくまでも緊急時の対応ですので、翌日必ず歯医者を受診してくださいね。
多忙で翌日に歯医者に行くことができない方も、できるだけはやめに受診しましょう。
読者の皆さんがつらい痛みに悩まされることなく快適な睡眠をとれることを願っています。